子どもたちと繋がることで自分が頑張れた−チャイルドドクター制度のきっかけ
宮田:それでアフリカに渡ったのですが、当時の僕は、文字通り何もできません。医療系のNPOに在籍しているのに医者でもなければ医療も知らない、社会人経験も、ましてやアフリカで人を雇ったこともなく、そんな人間がいてもうまくいくような現場ではありませんでした。
何もできない自分が本当につらかった。悪いことも重なって日本に帰ろうかと思い悩んでました。
ある時、いつも支援している子どもの家に行ったら、子どもが僕の手を引いて、スラムの中をずーっと一緒に歩いてくれたんです。子どものことだから、意図はないんだと思います。いつも来ている宮田さんを案内しようというだけだったかもしれない。でも、僕は、これに救われました。
自分が何かしてあげよう、自分が変えてやろうと思って頑張っていたんですが、それは、間違った考えじゃないかと思いました。
実は、この子たちがいるおかげで、僕はここにいることができたのかもしれない、この子たちがいるから自分が頑張れたんだ、と思うようになったんです。人間は、子どもと繋がることでこんなに変わるんだと。
それで、支援者が子どもと一対のペアになって医療支援を行う「チャイルドドクター制度」を思いつきました。
当時、僕たちの団体を支援している人たちは、女性がほとんどでした。
調べてみると、女性は、目の前の困っている人を助けたい、支援する子どもとの近さや関係性を重視している。自分が必要とされていることに喜びを感じ、自分が大切にしている人のためにお金を使うことで元気になることがわかってきました。
もちろん活動の支援者には男性もいます。それなので、こうした女性的な考え方を持った方々に支援してもらうための工夫を考えようと思いました。
こうして、「チャイルドドクター制度」という支援している子どもから1年に12回〜15回も手紙が届けられる仕組みを作り、偶然にも、NHKが15分ほど私たちの活動を取り上げてくれたので多くの活動資金が集まり、それが今でもずっと続いているわけです。
チャイルドドクター・ジャパン http://www.child-doctor.org
チャイルドドクター制度 http://www.child-doctor.org/support/