一緒の方向を向いて悪口が言えるというのは、非常に大事やと思うんです。そういう人間が絶対必要ですよ ー山田ルイ53世

田中 それに、男女ですごく差があるのが自殺なんです。
自殺は、圧倒的に男性が多く、昨年と一昨年は自殺対策が功を奏して自殺者数は、2万5千人まで減りましたが、1990年代後半から2010年代の後半にかけて、日本では14年連続で3万人の方が亡くなっています。3万人中、女性が1万人を超えた年は、実は1回もないんです。
人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率では、2003年は男性が40.1%、女性は14.5%で、男性は女性の約2.8倍、1978年から常に2倍以上開きがあります。世界的にみても日本は自殺率が高いんです。
調査結果から明らかになっているのですが、中高年の男性は人に悩みを相談することがはばかられるという割合が、若い男性や女性よりも高い。中高年の男性はもっとも自殺率が高いわけですが、こうした傾向は自殺の原因になっていると思います。
そして、人に悩みなどを気軽に相談できないのはなぜかと思ったのですが、そもそも友達がいないからでしょうか?

山田 はい(笑)。

田中 中高年だとそういう方が多いのかなという問題があります。

山田 僕は芸能人の友達はほとんどいません。ひぐち君しかいないです、相方ですけれど。あまり社交性がないものですから、いまの話は身につまされる。

田中 でも、コンビで悩みを話されたり。

山田 めっちゃお互い言います。「この間、嫁がこんなん言うて」みたいな話もしますから。

田中 それはいいですね。なんでも話せる友人がいるのなら、自分の中に悩みを仕舞い込まなくてすみます。仕事上のパートナーであるひぐちさんが相談相手だというのは、すごくいいなと思います。

山田 いいですよ。プライベートもお互い吐露できるし、かつ仕事の悪口を一緒に言えるというのがすごい。あいつ、ほんま腹立つなとか、彼の番組どうやったとか。おまえのギャグは周りが悪いだけで、おまえが別に悪いわけではないと励ましたり(笑)。
相談できるというのはもちろんですが、一緒の方向を向いて悪口が言えるというのは、非常に大事やと思うんです。そういう人間が絶対必要ですよ。

田中 悪口や愚痴って、精神衛生上、いいですよね。悪口を面と向かってその人に言うのではなくて、閉じた場で言うだけですから。「そんなに後ろ向きなことを言うなよ」とか「もっと前向きに」とか、正論ばかり言われると、すごく窮屈になってしまうと思います。
すごくいいですね、お仕事をされているコンビとそうやって言い合えるのは。

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ある程度キャッキャ言えて、おいしくお酒を飲んだりできたら、十分友達なんじゃないかと思います